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チベット文化圏の広がりが見えてくる力作
(2004-10-11)
新聞などで「チベット」という言葉を使った場合、中国の「チベット自治区」だけを指している。それが中華人民共和国の公式見解だからだ。しかし、かつてチベットという国は、広大な面積を有していた。そして、現在も、チベット人のうち半分以上が、チベット自治区以外の中国各省に住んでいる。
本書の指す「チベット」は、日本列島6つ分にもなるチベット高原の全域である。そこにはチベット人の住む1つの自治区と4つの省、ネパール・ヒマラヤやブータンが含まれるが、著者ギュルメ・ドルジェはこの広大な地域を自ら旅し、詳細にアクセス情報や地誌を記している。当然その量は膨大なものになり、ほとんど1000ページに届きそうだ。
旅が好きな人は多いだろう。しかし、(いくら仕事絡みとはいえ)著者ほど一つの地域を徹底的に歩き回る人は稀なはずだ。しかも、チベットという過酷な地を。憧れを通り越して、半分呆れてしまう。
日本には同様のコンセプトの『旅行人ノート チベット』(旅行人)があるが、さすがに本書ほど詳細ではない。というか、あちらは携帯可能な旅行ガイドブックとしてのアイデンティティゆえ、分厚くなるのをためらっているはずだ。しかし、本書はほとんど「事典」の域に達しており、容赦なく分厚く、重い(笑)。おそらくチベットについて、これ以上のガイドブック(?)は出てこないであろう。

